【事例紹介】認知症による口座凍結を防ぎ、夫婦の生活資金を守った家族信託
今回ご相談に来られたのは、昭和1○年生まれの男性。
長男と一緒に来所され、はっきりとこうおっしゃいました。
>「自分と妻のためのお金なのに、凍結されて使えなくなるのは困る。」
奥様はすでに要介護3。認知症の症状があり、ご自身で財産管理はできない状態でした。
将来、ご自身も認知症になった場合、 あるいは亡くなった場合に、銀行預貯金が凍結され、夫婦の生活費が滞ることを強く心配されていました。
家族信託は「生活を守るための対策」
ご相談者のご意向は、とても明確でした。
- 自分と妻の生活費として、預貯金を柔軟に使えるようにしたい
- 自分が亡くなった後も、妻の生活資金として継続管理してほしい
- 葬儀費用や未払い債務はきちんと清算したい
- 最後に残った財産は子どもたちが承継すればよい
また、こうもお話しされました。
>「相続で妻の口座にそのまま入れるのは、抵抗がある。」
配偶者の管理能力の問題、そして将来の混乱への不安。
単なる相続・承継対策ではなく、「生活資金を守る仕組み作り」が必要だったのです。
解決策:金銭の家族信託+遺言の組み合わせ
家族信託と遺言を組み合わせた設計
このケースでは、家族信託(民事信託)と遺言を組み合わせる設計をご提案しました。
-
生前の対策(認知症対策)
・受託者を長男に指定
・保有する銀行の定期預金を解約し、信託財産として長男へ移転
・長男が信託口口座を開設し、信託金銭を管理
これにより、
- ・将来、認知症になっても資金を柔軟に動かせる
- ・長男が夫婦の生活費として金銭を管理・活用できる
という状態をつくります。
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死亡時の設計(相続対策)
・遺言により、死亡時に残った現金を信託へ追加信託する仕組みを設計
・妻の口座へ直接移さず、信託で一元管理を継続
これにより、妻の生活費としての資金管理を途切れさせることなく、
安定的に支出できる体制を維持できます。
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最終承継
・妻が亡くなった後、残余財産は子どもたちへ承継
「すべて妻のために使い、最後に残れば子どもたちへ」
――極めてシンプルで自然な構造です。
家族信託が有効に機能するケースとは
家族信託は、すべての人に適している制度ではありません。
しかし、この事例は非常に典型的な「信託が有効に機能するケース」でした。
- ・認知症による口座凍結を避けたい
- ・管理を任せたい相手が明確(長男)
- ・財産の中心が金銭
- ・最終的な承継者も明確
目的・人物関係・財産構成が整理されている場合、
家族信託は極めて合理的な選択肢となります。
今回のご相談者様は、面談時にご自身の意図を明確に理解されており、
受託者となる長男も丁寧で信頼関係が十分に築かれている印象でした。
信託は制度ではなく、「信頼を法的に形にする仕組み」です。
生活資金と相続を同時に考えたい方へ
- ・認知症による口座凍結が心配
- ・配偶者が認知症である
- ・子どもに財産管理を任せたい
- ・相続と生活資金の確保を同時に整理したい
家族信託が適しているかどうかは、個別事情によります。
また、
上記の事例においても同様ですが、委託者の死亡によって承継される金銭は、
相続税の課税対象となります。
そのため、信託の設計にあたっては、
誰を次の受益者・帰属権利者として指定するかについて、税務面を含めた全体設計が重要となります。
当事務所では、制度ありきではなく、
「本当に必要かどうか」から一緒に検討いたします。
横浜で家族信託・認知症対策をご検討の方へ。
まずはお気軽にご相談ください。
司法書士 安西雅史
司法書士安西総合事務所









