福祉型民事信託|戸塚区・泉区・栄区の不動産登記や相続手続きは、司法書士安西総合事務所にお任せください。

  • 司法書士安西総合事務所
  • 無料相談受付中
  • お気軽にご相談ください

家族信託の実務

福祉型民事信託のお話

2023・9執筆

福祉型民事信託とは


☆福祉型信託とは・・
 この言葉の明確な用語の定義は見当たりませんが、広く高齢者や障害者等の生活支援のための信託のことをいい(平成18年信託法改正時の国会の付帯決議より)、特徴として、主に次の4つが想定されます。

@後見制度を補充する、あるいは後見制度との併用による財産管理


A親亡きあと問題への対応(親の死後、障害を持つ子らへの財産の承継・管理と身上保護をどうするかという問題)


B死後事務への対応(頼れる親族がいない場合の葬儀、埋葬、供養等に関する手続費用の支払いをどうするかという問題)


C遺言代用信託(相続人間での遺言執行トラブルを回避するための信託)


☆実務での対応
 福祉型民事信託においては、その信託目的の中で、受益者の安定した生活や福祉の確保が掲げられており、また、医療や介護等に必要な費用の給付文言が規定されていることが一般的といえます。そして、これら信託目的を達成させるために、受託者には、自らの裁量で信託財産を管理、運用、処分するなどの一定の権限が与えられます。

☆金融機関の調査報告
 某金融機関の調査によると、金融機関に持ち込まれる民事信託の統計では、約9割が福祉型信託とされています(2021年度調査)。

☆福祉型信託の課題、問題点など
@成年後見制度の潜脱・・・本来、福祉型信託は、後見制度(特に任意後見制度)との併用として利用されることが望ましいとされているますが、後見制度を回避することを目的として信託を利用しているケースも少なくなく、そのような(裁判所の関与がない)信託の弊害として注意しなければならないのは、受託者が帰属権利者となっている信託契約で、受託者が信託財産を囲い込んでしまっているようなケースがあります。

A身上保護への配慮・・・福祉型信託を通じて、受益者である高齢者等の身上保護を含めた生活全般の支援を考慮する必要があります。後見制度と併用することで、受託者による財産管理、後見人による身上保護(受託者への監督も含む。)といったそれぞれ役割を分担することが必要といえます。

B専門職による継続的な支援・・・任意後見契約を締結しても、適切な時期に任意後見監督人の選任がなされないなど、実務では、親族による後見が開始されないといった問題が以前より指摘されています。専門職による継続的な関与によって、受益者である本人の利益が損なわれないような支援が必要と考えます。

 以上、福祉型民事信託について簡単にまとめてみました。高齢者・障害者の権利擁護の視点から、民事信託と後見制度をどのように連携させていくことが望ましいのか、引き続き検討していきます。


参考文献 「信託フォーラムvol.17;福祉型民事信託と特定障害者扶養信託」

不動産登記(売買、抵当権抹消、建物新築、増築)/相続遺言,遺産承継手続のことなら、横浜の司法書士安西総合事務所にお任せ下さい。

  • 電話によるご相談
  • メールによるご相談

PageTop