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相続・遺言・遺産承継

相続と遺産分割


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遺産分割協議のあとに別の遺産が発見された場合の先行協議の扱いについて(裁判事例)


 実務では、農家の方に相続が発生すると、遺産は自宅と農地(農専地域内)、あとは農協やゆうちょ銀行を中心とした預貯金といったケースがあります。ここで紹介する裁判事例(大阪高裁決定令和元.7.17)は、平成11年に死亡したAの遺産分割において、遺産は、自宅土地建物、農地、農機具、預貯金及び現金であったとして、平成12年に、Aの相続人である妻B、子X及びYの3名で次のとおり遺産分割協議(以下、「先行協議」という)を成立させました。

・Bは、自宅土地建物・預貯金及び現金(評価 約3200万円)
・Xは、現金200万円
・Yは、農地・農機具・農協の出資金 他(評価 約3300万円)

 遺産に占める相続割合として、B;47.55%、X;2.95%、Y;49.49%であり、また、遺産は相続税の基礎控除額以下のため相続税は発生していないといった事案です。Xがこの先行協議に同意した背景として、Bから「今は200万円で我慢してほしい、それ以上遺産を分けるとなると土地を売らないといけない。」などといった懇願があり、Xはこれに説得させられた形で同意をしたといった事情があったようです。

 さて、問題の発端は、平成16年頃(Aの死亡から約5年後)、亡A名義の貯金4口(1,354万円余)が発見されました(以下、「本件遺産」)。なお、この時点でのAの相続人は、XとYのみです(Bはすでに死去しており、Bの相続人もXとYのみ)。
 もし、私がXの立場だったら、この遺産は先行協議の修正分として、Yよりも多く分配を受けることが自然と考えるかもしれません。実際、Xは本件貯金に関し遺産分割を求める審判の申立を行い(※)、その中でXは、本件遺産の存在を知っていたら先行協議のような内容の協議は行わなかったなどといった主張をしたようですが、裁判所(原審)はこれを認めず、また、抗告審の大阪高裁でもその判旨において、「先行協議の当事者は、各相続人の取得する遺産の価額に差異があったとしても、そのことを是認していたというべきである。」として、先行協議は完結しており、その後の清算は予定されていなかったというべきであるから、その後に発見された本件遺産の分割においては本来の相続分(つまり、X・Yともに2分の1ずつ)に応じて取得するのが相当であるとして、Xの抗告を棄却しました。

次回へ続く

(※)Xの詳しい申立の内容はわかりませんが、先行協議の内容から、この預貯金を単純に法定相続分で分割することは不公平だとする内容の申立だったと推測します。

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