確定後根抵当権の債務者変更の登記
不動産登記/根抵当権の債務者変更
テーマ
「債務者の死亡に伴う確定根抵当権の債務者変更の登記(相続・債務引受)」
「事例」
根抵当権の債務者兼設定者が死亡し、指定債務者の合意の登記をしないまま6ヶ月が経過しました。これにより、当該根抵当権の元本は確定しましたが、以下の場合、債務者の相続等に伴う根抵当権の変更の登記は、どのようになりますか。
<ケース1>
債務者Aが平成28年6月1日に死亡し、相続人は妻Bと長男C。Cが、平成29年3月1日、根抵当権の被担保債務の全てを引き受けることで合意した場合。
<ケース2>
債務者Aが平成28年6月1日に死亡し、相続人は妻Bと長男C。BとCが、平成29年3月1日、根抵当権の被担保債務を相互に引き受けることで合意した場合。
「回答」
<ケース1>
(申請1/2)
「平成28年6月1日相続」を原因とする根抵当権の債務者変更登記をする。変更後の事項は、「債務者 B・C」とする。
(申請2/2)
「平成29年3月1日Bの債務引受」を原因とし、変更後の事項は、「債務者 C」とする。
<ケース2>
(申請1/2)
<ケース1>の(申請1/2)と同じ。
(申請2/2)
「平成29年3月1日BはCの及びCはBの債務を重畳的引受」を原因とし、変更後の事項は、「連帯債務者 B・C」とする。
「解説」
根抵当権の債務者の死亡により、指定債務者の合意の登記をしないまま相続開始から6ヶ月を経過すると、当該根抵当権の元本は確定し、被担保債権は抵当権と同様、随伴性が生じます。つまり、債務引受けよって被担保債権はその根抵当権で担保されることになります。
債務を承継する相続人が一名なら、その者を単独債務者として登記します。二名以上で承継するような場合は、上記ケース2のような登記手続が必要になります。
ところで、登記実務では
抵当権の場合、遺産分割協議等で特定の相続人が相続債務を承継し、債権者がそれに同意した場合、債務者の相続の登記を省略して、直接、債務を承継した相続人を債務者とする登記をすることが認められています。一方、確定した根抵当権についてはこれを省略する扱いは認められておらず、原則どおり、共同相続人全員を債務者とする変更登記を行った上で、債務を引き継いだ相続人を債務者とする変更登記をする必要があります。
確定根抵当権について、仮に遺産分割の形式で債務が引き受けられたとしても、その遡及効を元本確定前までに及ぼすのは適当ではないとされているからです。
なお、上記ケース1、2と異なる事例として、次のケースも考えられます。
ケース3
債務者Aが死亡し、相続人は妻Bと長男C。CがBの分割承継した相続債務を重畳的に引き受けることで合意した場合(すなわち、相続債務の一部についてはCの単独債務となり、他の一部についてはBとCの連帯債務となるケース)。
これに関しては、次回以降の別の機会に記述します。
以上です。
以上
※記事の内容は、掲載当時の法令解釈や登記実務の運用に基づいているため、実際の事例に関しては必ず最新の情報をご確認のうえ、管轄の法務局、又は登記を担当する専門家へご相談ください。
「債務者の死亡に伴う確定根抵当権の債務者変更の登記(相続・債務引受)」
「事例」
根抵当権の債務者兼設定者が死亡し、指定債務者の合意の登記をしないまま6ヶ月が経過しました。これにより、当該根抵当権の元本は確定しましたが、以下の場合、債務者の相続等に伴う根抵当権の変更の登記は、どのようになりますか。
<ケース1>
債務者Aが平成28年6月1日に死亡し、相続人は妻Bと長男C。Cが、平成29年3月1日、根抵当権の被担保債務の全てを引き受けることで合意した場合。
<ケース2>
債務者Aが平成28年6月1日に死亡し、相続人は妻Bと長男C。BとCが、平成29年3月1日、根抵当権の被担保債務を相互に引き受けることで合意した場合。
「回答」
<ケース1>
(申請1/2)
「平成28年6月1日相続」を原因とする根抵当権の債務者変更登記をする。変更後の事項は、「債務者 B・C」とする。
(申請2/2)
「平成29年3月1日Bの債務引受」を原因とし、変更後の事項は、「債務者 C」とする。
<ケース2>
(申請1/2)
<ケース1>の(申請1/2)と同じ。
(申請2/2)
「平成29年3月1日BはCの及びCはBの債務を重畳的引受」を原因とし、変更後の事項は、「連帯債務者 B・C」とする。
「解説」
根抵当権の債務者の死亡により、指定債務者の合意の登記をしないまま相続開始から6ヶ月を経過すると、当該根抵当権の元本は確定し、被担保債権は抵当権と同様、随伴性が生じます。つまり、債務引受けよって被担保債権はその根抵当権で担保されることになります。
債務を承継する相続人が一名なら、その者を単独債務者として登記します。二名以上で承継するような場合は、上記ケース2のような登記手続が必要になります。
ところで、登記実務では
債務者の相続の登記を省略できるか
といった論点があります。抵当権の場合、遺産分割協議等で特定の相続人が相続債務を承継し、債権者がそれに同意した場合、債務者の相続の登記を省略して、直接、債務を承継した相続人を債務者とする登記をすることが認められています。一方、確定した根抵当権についてはこれを省略する扱いは認められておらず、原則どおり、共同相続人全員を債務者とする変更登記を行った上で、債務を引き継いだ相続人を債務者とする変更登記をする必要があります。
確定根抵当権について、仮に遺産分割の形式で債務が引き受けられたとしても、その遡及効を元本確定前までに及ぼすのは適当ではないとされているからです。
なお、上記ケース1、2と異なる事例として、次のケースも考えられます。
ケース3
債務者Aが死亡し、相続人は妻Bと長男C。CがBの分割承継した相続債務を重畳的に引き受けることで合意した場合(すなわち、相続債務の一部についてはCの単独債務となり、他の一部についてはBとCの連帯債務となるケース)。
これに関しては、次回以降の別の機会に記述します。
以上です。
以上
※記事の内容は、掲載当時の法令解釈や登記実務の運用に基づいているため、実際の事例に関しては必ず最新の情報をご確認のうえ、管轄の法務局、又は登記を担当する専門家へご相談ください。