相続人への遺贈登記が単独で可能に|戸塚区・泉区・栄区の不動産登記や相続手続きは、司法書士安西総合事務所にお任せください。

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「不動産を遺贈されたけれど、登記って大変そう……」

2023年4月の法改正で、相続人が受けた遺贈は一定の条件のもとで単独登記が可能になりました。

この記事では、制度のポイントや必要書類などを簡潔にご紹介します。


1.相続人による単独申請が認められた背景

日本各地で問題となっている「所有者不明土地」の解消を目指し、相続登記の義務化や登記の簡素化が進められました。

その一環として、相続人が受けた遺贈については単独で登記申請できる制度が導入されました。


2.これまでの制度と申請の手間

以前は、不動産の遺贈を受けた相続人が登記するには、次のいずれかの方法が必要でした:

  • 遺言執行者と共同申請
  • 遺言執行者がいない場合は、相続人全員と共同申請

単独では登記ができなかったため、手続きが複雑でした。


3.新制度のポイント

2023年4月以降、受遺者が相続人である場合に限り、単独での登記申請が可能になりました(不動産登記法第63条第3項)。

これは、「特定財産承継遺言」の考え方と類似し、遺言の内容が明確であれば他の相続人の関与を不要とする制度です。


4.必要となる書類

  1. 遺言者の死亡を証する書類(除籍謄本・住民票除票など)
  2. 受遺者が相続人であることの証明(戸籍謄本など)
  3. 遺言書の写し(公正証書遺言など)

5.遺言者の住所の変更登記は必要か?

申請の際、被相続人(遺言者)の登記上の住所と死亡時の住所が異なっている場合、遺贈の登記の前提として、被相続人の住所の変更登記を申請する必要があるかという登記上の問題があります。

この点、登記研究第908号に掲載された法務省見解によれば、相続登記と同様に、遺贈登記においても同一性を示す資料があれば住所変更登記を経ずに所有権移転登記ができるとされています(明治33年4月28日付民刑第414号回答)。

ただし、登記義務者(遺言執行者や相続人)との共同申請によって行う場合は従前どおり、住所変更登記を省略することはできないため注意が必要です(登記研究第401号【質疑応答5907】参照)。


6.単独での登記が認められないケースに注意

今回の単独申請制度は、すべての遺贈に適用されるわけではありません。相続人ではない者への遺贈(例:孫や第三者)については、従来どおり、相続人全員や遺言執行者と共同して登記を申請する必要があります。


まとめ:登記のハードルが下がった今、早めの対応を

今回の改正で、不動産を遺贈された相続人が、他の相続人や遺言執行者の関与なしに登記できる道が開かれました。これにより、登記の遅れが解消され、所有者不明土地問題の予防にもつながることが期待されます。

不動産を相続したら、ぜひ早めに登記手続きを。「うちも当てはまるかも」と感じた方は、司法書士安西総合事務所にご相談ください。


参考文献:登記研究 第908号(令和5年10月号)

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