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司法書士業務メモ

任意後見優先の原則

本人の財産管理につき親族間で争いがある場合の法定後見と任意後見の関係について

裁判事例の紹介 (内容を一部編集し、簡略化しております。)
@母(本人)には、三人の子A、B、C(任意後見受任者)がいる。
A母は、当初、A夫婦と一緒に生活していたが、Cが母をA方から連れ去ったため、以後、C方で生活するようになった。
B母の生活・療養看護については、介護施設が面倒を看る一方、母の財産については、Cへの財産管理報酬等として、母名義の口座から多数回にわたる出金があった。
Cその後、母は、脳梗塞で入院し、後見相当(意思疎通ができない植物状態に準じた状態)と診断された。

争い
・上記に関し、Aは、Cによる母の財産管理等に問題がありCは任意後見人として不適格であると主張し、「母の利益のため後見を開始する必要がある」として、母につき後見開始を申し立てた(甲事件)。

・他方、Cは、母との任意後見契約に基づき任意後見監督人選任を申し立てた(乙事件)。

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裁判所の判断
原審(家裁)は、甲事件を却下し、乙事件ついて後見監督人を選任したが、これに対し、Aが抗告した。抗告審は、以下@)A)B)等の理由から任意後見契約に関する法律10条1項の定める「本人の利益のために特に必要があると認めるとき」に該当するとし、原審判を取消し、更に審理を尽くさせるため事件を原審に差し戻した。

@)Cの母への財産への関わりについて任意後見契約の締結の前後のCによる母の財産管理には不適切な点が認められる

A)Cによる母の療養看護について、Cの関心は専ら母の財産管理にあり、Cに母の療養看護をさせるのは適切とはいえない

B)母の親族間に母の財産の管理を巡る深刻な対立がある

原則は、任意後見契約が優先

現行の後見制度においては、任意後見と法定後見(補助・保佐・後見)が併存・兼務する状態を認めておらず、任意後見による保護を選択した本人の自己決定を尊重する観点から、原則として、任意後見が優先されます。
つまり、いったん、本人と任意後見受任者との間で任意後見契約が締結され、かつその旨の登記がされると、その後、他の親族が本人につき後見の開始を申し立てても、裁判所は、任意後見監督人の選任の先後を問わず、原則として、当該申立を却下することとなります。


例外は、「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」

ただし、裁判所が、「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」に該当すると判断すれば、任意後見による本人の保護より法定後見による本人の保護を重視し、競合する任意後見は終了し、法定後見が開始することになります。

「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」とは、どのような局面であるか

これに関し立法担当者の解説によれば、@本人が任意後見人に授権した代理権の範囲が狭すぎるうえ、他の法律行為について法定代理権の付与が必要であるが、本人の精神状況が任意の授権の困難な状況にある場合や、A本人について、同意権、取消権による保護が必要な場合などを例示しており、その他に、B任意後見人の報酬があまりにも高額である場合C本人と受任者または任意後見人との間の信頼関係が著しく損なわれるに至った場合などが挙げられています。

実際に任意後見と法定後見が競合し、争われるようなケースとして

・本人とその妹との間で任意後見の締結・登記がなされた後に、本人の長女から補助開始の申立てがなされたケース

・本人両名の長男からの保佐開始の申立て後、その審判前に、本人両名とその二男との間で任意後見の締結・登記がなされたケース

・その他、本人と同居する親族が、本人の財産を独占する意図で任意後見契約を利用し、他の親族による法定後見開始の申立を阻止するようなケース

など

いずれもケースにおいても、裁判所は、本人の福祉等の観点から、本人の利益のために法定後見による保護が特に必要であるかどうかを判断することになると考えられます。


以上

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