管理不全空き家の通知を受けたら―相続放棄の期限と対応
突然、市区町村などから空き家の管理についての通知が届くと、「なぜ自分に連絡が来たのか」「そもそも誰の家なのか分からない」と戸惑うことがあります。相続するつもりがなく、相続放棄を急いで検討したい場合には、まず通知の意味と相続関係を整理しながら動くことが大切です。
目次
- ・空き家の通知が自分に届く理由
- ・はじめて知った空き家の存在 相続放棄はできる?
- ・空き家の相続放棄 特有の論点とは
- ・相続放棄が受理された後の対応
空き家の通知が自分に届く理由
管理不全空き家についての通知が突然届くケースでは、親族関係が疎遠で、通知を見ても「誰の家なのか」、「なぜ自分に連絡が来たのか」すぐには見当がつかないことがあります。とくに、叔父・叔母などの相続では、前の世代の相続関係や相続放棄の有無によって、思いがけず自分に順番が回ってくることがあります。
たとえば、叔父・叔母には子どもがいたはずでも、その子どもが相続放棄をしていたために、さらに次の相続人候補として自分に連絡が及ぶことがあります。役所から通知が来た以上、見当がつかない場合でも、まずは自分が相続人である可能性を前提に動くことが大切です。
通知が来たら、まず無視せず確認する
行政から通知が届いた場合、その時点で細かい相続関係が分からなくても、通知を放置しないことが重要です。通知書に担当部署や連絡先が記載されている場合は、まずそこへ問い合わせ、どの空き家について、どのような経緯で連絡が来ているのかを確認します。
役所が回答できる内容には限界がありますが、少なくとも対象不動産の所在や通知の趣旨など、初動対応に必要な範囲は確認できることがあります。そこから、戸籍の確認や相続関係の整理につなげていくのが自然な流れです。
はじめて知った空き家の存在
相続放棄はできる?
相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。管理不全空き家の通知を受けた場合も、その通知をきっかけに、被相続人の死亡や自分が相続人であることを初めて知ったのかが重要になります。
そのため、通知が来た日が当然に起算点になるとは限りませんが、通知によって初めて相続の問題を認識したのであれば、その時点が3ヶ月のスタートと考えることが無難といえます。この起算点を任意に遅らせることはできません。したがって、時間があると思い込まず、まずは3ヶ月の熟慮期間を意識して、状況を整理することが大切です。
通知が起算点の手がかりになることもある
疎遠な親族の死亡や、先順位者の相続放棄を知らないまま時間が経っていることもあります。事例としては、相続開始後、数年経ってから通知がくることもあります。「いつから3か月なのか」は、個々の実情によって異なります。
空き家の相続放棄 特有の論点とは?
ある日突然、役所から管理不全となった空き家の管理を命じられた──。こういったケースでは、これまでほとんど付き合いのなかった叔父や叔母の相続人として通知が来ている、といったことがよくあります。
叔父・叔母の相続で相続放棄を進める場合は、親や兄弟姉妹の相続よりも、戸籍の収集や相続関係の確認に時間がかかることがあります。親族関係が複雑になりやすく、疎遠な親族の死亡や、先順位者の相続放棄の有無を確認しなければならない場面も少なくありません。
また、戸籍の証明書については、現在、本籍地以外の市区町村窓口でも取得できる「広域交付制度」がありますが、これは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸籍証明書などが対象であり、叔父・叔母の相続で必要となる戸籍収集では、広域交付制度は利用できません。そのため、叔父・叔母の相続では、必要な本籍地ごとに戸籍を取り寄せる必要が生じ、一定の時間を要することがあります。
裁判所への申述も時間に余裕を持つことが大切です
相続放棄の申述先は、被相続人である叔父・叔母の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。遠方の裁判所が管轄になることも多く、その場合は郵送で手続きを進めることになります。
さらに、家庭裁判所によっては、申述書を提出した後に、本人あての照会書が送られてくることがあります。この照会書には回答期限が設けられているのが通常ですので、申述書を送って終わりではなく、裁判所からの郵便物にも期限内に対応する必要がある点に注意が必要です。
■ 相続放棄が受理された後の対応
相続放棄の申述が受理されると、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きます。管理不全空き家について行政から通知が来ている場合は、まず相続放棄が受理されたことを、この通知書に基づいて担当部署へ伝えることになります。
受理通知書はその後の説明資料として使います
相続放棄が完了した後は、家庭裁判所から届いた書類をきちんと保管しておくことが大切です。行政への連絡だけでなく、その後に関係者や別の窓口へ事情を説明する場面でも、相続放棄をしたことを示す資料として役立ちます。









