不動産登記/建物新築・増築、土地地目変更
区分建物の変更登記
テーマ
〜小規模宅地の特例が使えない?〜
相談内容
Aさんは、自宅建物(木造/3階建)にて母親と二人で暮らしていましたが、1階部分をAさん名義、2-3階部分をAさんの母親名義とする区分建物の登記をしていました。今般、Aさんの母親が他界し、税理士に相続税の相談をしたところ、Aさん名義となっている自宅敷地(約200平米)につき小規模宅地の特例が使えない(※)といった回答がありました。Aさんとしては、今後、自宅を区分建物として登記しておく必要性がないことや将来の相続対策等を考えて、自宅の区分建物を解消したいと考えていますが、どのような方法がありますか。
回答
合併を原因とする区分建物を一棟の建物とするための変更登記を申請することで、登記上の区分状態が解消されます。
解説
二世帯住宅として自宅を建築したあと、建物全体を【一棟の建物】としてではなく、たとえば1階を親名義、2階を子名義などとする【区分建物】として登記することがあります。私が過去に受任したケースでも、このような【区分建物】の登記の依頼が年に数回ありましたが、現在は少なくなったように感じます。その原因の一つは、平成25年相続税法の一部改正によって、いわゆる小規模宅地の特例が【区分建物】として登記された建物にかかる敷地には原則適用されなくなった(※)ことがあるのかもしれません。
さて、区分建物として登記するための要件としては、各専有部分(部屋)が互いに独立しており、原則、内部での往来ができないこと、入り口(玄関)が個別に存在していることなどがありますが、これらの要件を満たした建物を【区分建物】として登記するか、あるいは、全体を【一棟の建物】として登記を申請するか、申請人の判断で申請できます。また、いったん【区分建物】として登記した建物を【合併】を原因として【一棟の建物】へ変更する場合、前提として、建物の改修等の工事作業は不要です(cf:区分建物の隔壁除去による合体の登記)。
ただし、【区分建物】として登記した建物を【一棟の建物】へ変更するためには登記上いくつか条件があり、その一つに【各部屋の所有者がすべて同一人であること】が挙げられます。上記質問では、小規模宅地の特例を受けられるように母親の生前中に【一棟の建物】への変更登記をしたいと考えても、そのままでは登記ができないということになります。
さて、今回のご相談では、Aさんの母親名義であった2・3階部分をAさん名義で相続登記した結果、1・2・3階すべてがAさん名義となりました。このため、これまで区分建物として存在していた1階部分と2・3階部分の登記記録をすべて閉鎖し、【合併】によって新たにAさん名義の一棟の建物(3階建)の登記を創設することができます。これにより、区分状態は解消されます。この場合、一棟の建物全体についての登記識別情報通知がAさん宛てに新たに発行されることになります。
以上です。
(※)※記事の内容は、掲載当時に施行されたいた法律に基づいています。区分建物とその敷地にかかる小規模宅地の特例の適用の可否に関する個別の事例等については、必ず最寄りの税の専門家へご相談ください。
〜小規模宅地の特例が使えない?〜
区分建物として登記した建物を一棟の建物へと変更する登記手続について
相談内容
Aさんは、自宅建物(木造/3階建)にて母親と二人で暮らしていましたが、1階部分をAさん名義、2-3階部分をAさんの母親名義とする区分建物の登記をしていました。今般、Aさんの母親が他界し、税理士に相続税の相談をしたところ、Aさん名義となっている自宅敷地(約200平米)につき小規模宅地の特例が使えない(※)といった回答がありました。Aさんとしては、今後、自宅を区分建物として登記しておく必要性がないことや将来の相続対策等を考えて、自宅の区分建物を解消したいと考えていますが、どのような方法がありますか。
回答
合併を原因とする区分建物を一棟の建物とするための変更登記を申請することで、登記上の区分状態が解消されます。
解説
二世帯住宅として自宅を建築したあと、建物全体を【一棟の建物】としてではなく、たとえば1階を親名義、2階を子名義などとする【区分建物】として登記することがあります。私が過去に受任したケースでも、このような【区分建物】の登記の依頼が年に数回ありましたが、現在は少なくなったように感じます。その原因の一つは、平成25年相続税法の一部改正によって、いわゆる小規模宅地の特例が【区分建物】として登記された建物にかかる敷地には原則適用されなくなった(※)ことがあるのかもしれません。
さて、区分建物として登記するための要件としては、各専有部分(部屋)が互いに独立しており、原則、内部での往来ができないこと、入り口(玄関)が個別に存在していることなどがありますが、これらの要件を満たした建物を【区分建物】として登記するか、あるいは、全体を【一棟の建物】として登記を申請するか、申請人の判断で申請できます。また、いったん【区分建物】として登記した建物を【合併】を原因として【一棟の建物】へ変更する場合、前提として、建物の改修等の工事作業は不要です(cf:区分建物の隔壁除去による合体の登記)。
ただし、【区分建物】として登記した建物を【一棟の建物】へ変更するためには登記上いくつか条件があり、その一つに【各部屋の所有者がすべて同一人であること】が挙げられます。上記質問では、小規模宅地の特例を受けられるように母親の生前中に【一棟の建物】への変更登記をしたいと考えても、そのままでは登記ができないということになります。
さて、今回のご相談では、Aさんの母親名義であった2・3階部分をAさん名義で相続登記した結果、1・2・3階すべてがAさん名義となりました。このため、これまで区分建物として存在していた1階部分と2・3階部分の登記記録をすべて閉鎖し、【合併】によって新たにAさん名義の一棟の建物(3階建)の登記を創設することができます。これにより、区分状態は解消されます。この場合、一棟の建物全体についての登記識別情報通知がAさん宛てに新たに発行されることになります。
以上です。
(※)※記事の内容は、掲載当時に施行されたいた法律に基づいています。区分建物とその敷地にかかる小規模宅地の特例の適用の可否に関する個別の事例等については、必ず最寄りの税の専門家へご相談ください。