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「既存の建物に接続して新館を建築した場合の登記手続は」



「問題」

 丙山さんは、父である乙山さん名義の家屋番号100番の建物(以下、「既存建物」)に接続して、同敷地内に丙山さんが居住するための新館の建築工事をA工務店に依頼し、工事完成後、引渡しを受けました。新館の建築に伴う登記手続は、だれがどのような登記をすればいいのでしょうか?

 (事実関係)
 1.丙山さんは、乙山さんの承諾を得て自らの資金で既存建物に接続する形で渡り廊下付き新館を建築した。
 2.渡り廊下部分は、構造・屋根材とも新館と同様であって、基礎により定着し周壁を
  有し外気と分断されている。
 3.新館は、既存建物の玄関を通じてのみ出入りできる構造であり、また、既存建物と渡り廊下部分とは木製のドアで仕切られている。

「解答」

 この場合の必要な登記手続きは、既存建物についての増築等による「建物表題部変更登記」であって、この登記の申請人は、所有権登記名義人である乙山である。


「解説」

 まず、上記「問題」は平成28年度土地家屋調査士試験の記述問題から抜粋したものです。実務でもこのような相談事例はよくありますし、個人的には良問だと思います。以下、備忘録としてまとめてみます。
 
 さて、不動産登記制度では、「一つの不動産に一つの登記記録を設ける」ことを原則としており(一不動産一登記記録の原則)、建物の個数については、原則、一棟の建物につき一つと数えます(※1)。しかし実際問題としては、たとえば、外観上二棟の建物が共通の外階段や渡り廊下等で接続された場合、あるいは、道路を隔てて建てられた二棟のビルが連絡通路によって接続され相互に通行できるようになった場合、これらをあくまで二棟の建物として扱うのか、それとも全体として一棟の建物として扱うのか、判断の難しいケースがあります。結局のところ、個別のケースでそれぞれ判断していくことにはなりますが、登記実務での判断基準としては、各建物が構造上・利用上の独立性を有しているのかー 具体的には、出入口を格別に設けているか否か、建物内部はドアなどで遮断されているかどうか等 ― を総合的にみて、建物の一棟性を判断していきます。

 問題のケースでは、新館には玄関がなく、専ら既存建物の玄関を利用して出入りする構造であることから利用上の独立性に乏しいと考え、今回のケースでは全体を一棟の建物と判断することになります(※2)
 
 したがって、既存建物と、それのみでは利用上の独立性のない新館が造作工事によって全体として一棟の建物となったといえることから、既存建物の床面積が増加したと判断し、上記解答の登記が必要と考えます(※3)

 その他の論点として、渡り廊下部分は増築後の床面積に算入できるのか、所有権証明書として添付するA工務店の引渡証明書、あるいは建築確認通知にはいずれも丙山の名前しかなく、これを申請人である乙山とどう紐付けをするか、そして、課税の問題からの検討事項としては、表題部変更登記完了後、新館の建築資金を拠出した丙山に対し、どのようにして増築後の建物の所有権を持たせるのか等、多岐にわたる考察が必要であり、時間の限られた受験生にとっては大変だったでしょうが、じっくり検討する価値のある良問だと思います。

(※1)例外として、主である建物と附属建物の関係があります。
(※2)私見ですが、木製のドアで仕切られているという情報は、勉強している受験生に構造上の独立性ありと判断し、別解答を導かせるトラップだったのでしょうか?・・
(※3)実際の試験問題を目にしたわけではありませんので、問題の内容に関しての齟齬はご了承下さい。
 

以上です。

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