相続放棄をする順番にご注意


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気をつけたい相続放棄の順番


前回までのお話はこちらです

☆前回までの概略☆
 父(80歳)、後妻W(76歳)と順番に亡くなったので、父の長男Aさんは、父の遺産承継手続をしようと司法書士事務所へ相談にきました。Aさんは後妻さんが亡くなったことで、父の相続人は自分一人になったと勘違いをしていました。
 後妻Wさんがいったん相続した父の相続権は、Wさんの死亡によって、Wさんの相続人へ引き継がれます。Wさんに子どもがいなければ、Wさんの兄弟姉妹がこれを引き継ぐことになります。相続人調査の結果、Wさんには、地方で暮らす兄のSさんがいました。Aさんが父の遺産承継を行うには、Sさんと連絡を取って、遺産分割等の手続を行う必要があります。
 さて、Sさんが相続放棄をする場合は、どのように考えたらいいでしょうか。Sさんが、家庭裁判所にて相続放棄の手続をすれば、結果的には、Aさんの単独相続(父の相続人は、Aさん一人)ということになりそうですが、問題は、Sさんは誰の相続放棄をするのか、ということです。

☆相続放棄をする順番が非常に重要☆
 ここでSさんが妹Wさんの相続を放棄をすると、実はAさんにとってかなり厄介なことになります。仮に、Sさんが地元の専門家等に依頼してWさんの相続放棄を済ませたとすると、結果、Wさんの相続人は不存在ということになり ー前回の記事にあるWさんは「一人っ子」と同じ状況になりー 、Aさんが亡夫の遺産分割を行うなら、家庭裁判所にてWさんの相続財産管理人の選の申立てが必要になります。



☆まとめ☆

再転相続と相続放棄

 本件はいわゆる再転相続という事例であり、再転相続に関しては、判例(最判昭和63.6.21)があるのでこれを本事例に当てはめると、Sさんは、妹Wさんの相続に関しても、亡夫の相続に関しても、自由に選択して相続放棄をすることができることになります(※当然、民法の定める熟慮期間内に放棄をする必要はあります)。
 再転相続が発生したケースで相続放棄がからむような場合は、事例を慎重に検討して、相続放棄をする順番にも気を配る必要があります。

以上です。

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