相続・遺言・遺産承継

相続登記


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「遺贈と登記について」


 「Aに不動産を遺贈する。」と遺言書に書いたのに、遺言者が死亡したあとその相続人らの妨害によって遺言の内容が実現できなかった、というケースがあります。
 遺贈(遺言で自分の財産を譲り渡すこと)は、遺言者の死亡と同時に当然に受遺者(遺言で財産をもらう人のこと)が物権的に権利を取得するということで、意思表示に基づく物権変動であり、第三者に対抗するためには「登記」が必要であるとするのが基本的な考え方です(最判昭和39年03月06日判決)。たとえば、相続人が受遺者への権利の移転登記より先に相続登記を入れ、それに担保権を設定したり、又は売却したりすると、受遺者は、「登記した」当該担保権者やその買主に対し、遺贈による権利取得を対抗出来ないといった事態が起こりえます。

 つまり、もらえるはずの不動産が相続人によって先に処分され、結果、遺贈が実現できなかったといったことがありえます。

 では、どうすれば相続人による妨害を防ぐことができるのか。もちろん、遺言書のとおり速やかに登記ができれば問題ありませんが、受遺者が必ずしも遺言書の存在を知っているとは限りませんし、また、登記する際に相続人の協力が得られないことも想定できます。このような事態を防ぐためには、

遺言書の中で、遺言執行者を選任

しておくことをお勧めします。「遺言執行者」がある場合の特定物の遺贈による権利取得に関しては、受遺者は登記なくして第三者に対抗できるとする最高裁判決があります(最高裁昭和62年4月23日判決)。また、遺言執行者がある場合は、登記の際に相続人の協力は不要になります。

 遺言の作成、遺言執行者の選任でお悩みごとがありましたら、お気軽にご相談ください。

以上です。


追記
上記記述は、平成30年民法改正前の内容です。最新の情報と異なる場合がありますので、ご了承ください。
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