相続に関する重要判例|不動産登記・相続登記・遺言・会社設立登記・成年後見・司法書士安西総合事務所<横浜市戸塚区・泉区>

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司法書士業務メモ

相続に関する重要判例

No 003
判示事項「相続により相続人の共有となつた財産について共有物分割の訴えを提起することの許否」

(裁判要旨)
 相続により相続人の共有となつた財産について、共同相続人間に遺産の分割の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家事審判法の定めるところに従い、家庭裁判所が審判によってこれを定めるものであり、通常裁判所が判決手続きで判定すべきものではないと解するのが相当である。( 最高裁判所第三小法廷 昭和62年09月04日 判決)

※遺産の分割の審判を求めるべきであつて、共有物分割の訴えを提起することは許されない。

No 006
裁判年月日
昭和47年7月18日

判示事項
1、生前相続による不動産所有権の取得と同一不動産の遺贈を受けた遺産相続人に対する対抗
2、夫婦間の土地利用関係が地上権の設定とは認められないとされた事例


裁判要旨
1、旧民法(明治三一年法律第九号)施行当時において生前相続により不動産所有権を承継した家督相続人は、その登記を経なければ所有権取得をもつて第三者に対抗することができず、被相続人から同一不動産の遺贈を受けた者は、同時に被相続人の遺産相続人である場合でも、右第三者にあたる。

2、夫がその所有の土地を無償で使用することを妻に対して許諾し、妻がその地上に建築した建物に、夫婦で同居しているなど判示の事情がある場合でも、他に特段の事情がないときは、右土地の利用関係をもつて、建物所有を目的とする地上権が設定されたものと認めることはできない。

補足)2につき,夫が妻に対し,無償で土地の使用を認めた契約は,無償の地上権設定契約と評価するのか,それとも単に使用貸借契約と評価するのかが争われた事例です。

(全文)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/077/062077_hanrei.pdf

No 007
裁判年月日
平成8年12月17日

判示事項

 遺産である建物の相続開始後の使用について被相続人と相続人との間に使用貸借契約の成立が推認される場合

裁判要旨

 共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右の相続人との間において、右建物について、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認される。

コメント

 平成8年の本判決は、相続発生後も引き続き被相続人の建物に居住している相続人に対し、他の相続人からの持分に応じた不当利得の返還請求(賃料相当額の損害金の支払い)の可否が争われた事例であり、裁判所は、「使用貸借契約」あるいは「使用貸借関係」という構成を提唱し、不当利得返還請求権は成立しないとしました。
 なお、この事例は、一部の相続人が家族として被相続人と同居していたというだけでなく、被相続人と一緒に家業を営んできたという事案です。

(全文)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/508/052508_hanrei.pdf


No 008
裁判年月日
平成10年2月26日

判示事項

 内縁の夫婦による共有不動産の共同使用と一方の死亡後に他方が右不動産を単独で使用する旨の合意の推認

裁判要旨
 
 内縁の夫婦がその共有する不動産を居住又は共同事業のために共同で使用してきたときは、特段の事情のない限り、両者の間において、その一方が死亡した後は他方が右不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認される。

コメント

 平成10年の判決は、共有物件に関する事例であり、被相続人の単独所有物件に内縁配偶者が居住していたといったような場合は、上記平成8年判決の問題として処理するものと考えます。
 原審では、「共有者として本件不動産を使用収益していたのなら、使用貸借契約を締結する必要はなく・・」と判断し、最高裁でも、この事例においては「使用貸借契約」あるいは「使用貸借関係」という構成を提唱していません。このことからも、本判決の事例は、上記平成8年判決の事例と異なるといえます。

 下級審ですが、平成23年の名古屋地裁の判決では、共有持分取得に相応する程度の寄与をした内縁配偶者に対する相続人からの明渡請求及び賃料相当額の損害金の支払請求を、本判決を引用して、所有者の死後はこの内縁配偶者が単独で無償使用しうる旨の合意が黙示に成立していたとして斥けた事例があります。

(全文)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/795/052795_hanrei.pdf

No 009
裁判年月日
平成21年3月24日

判示事項

 相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合において,遺留分の侵害額の算定に当たり,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することの可否

裁判要旨
 
 相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合には,遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り,相続人間においては当該相続人が相続債務もすべて承継したと解され,遺留分の侵害額の算定に当たり,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されない。

コメント

 遺言書で債務のことを定めても、それは相続債権者の関与なくしてなされたものであるから、相続債権者から法定相続分に従った履行を求められたときには、相続人はこれに応じなければならないと判示しています。
 そうすると、プラスの財産をもらうことなく、債務だけを負担する相続人もいることになり、そのような相続人が債権者の請求に応じ債務の履行をしたとき、財産を取得した相続人に対して、何らかの求償ができるかという問題が残ります。

(全文)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/455/037455_hanrei.pdf

No 0010
裁判年月日
平成4年4月10日

判示事項

 相続人が遺産分割前に遺産である金銭を保管している他の相続人に対して自己の相続分相当の金銭の支払を請求することの可否

裁判要旨
 
 相続人は、遺産の分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払を求めることはできない。


コメント

 預金債権と異なり、被相続人の残した現金を分けるには、原則、相続人間で遺産分割協議を行う必要があります。このことは、相続開始時に現金を保有していた相続人が預かり金口座を開設し、そこに預金として現金を入金した場合であっても同様です。


(全文)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/639/062639_hanrei.pdf

No 0011
裁判年月日
平成26年2月25日

判示事項

1 共同相続された委託者指図型投資信託の受益権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか
2 共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか

裁判要旨
 
1 共同相続された委託者指図型投資信託の受益権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。
2 共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。


コメント

 上記平成4年の判決と同じように、これらの債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるものではないと判断しています。つまり、最終的な帰属は、遺産分割によって決せられるべきとしています。


(全文)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/978/083978_hanrei.pdf

No 0012
裁判年月日
平成14年6月10日

判示事項
「相続させる」趣旨の遺言による不動産の取得と登記

裁判要旨 
「相続させる」趣旨の遺言による不動産の権利の取得については,登記なくして第三者に対抗することができる。

コメント
 
 本事例は、いわゆる「相続させる」旨の遺言によって、不動産の権利一切を相続した妻側と、相続人の一人である子につき代位で相続登記を経由し、子の持分を差し押さえた債権者側とが、登記の対抗要件の要否について争った事例です。
 最高裁は、「相続させる趣旨の遺言による権利の移転は、法定相続分又は指定相続分の相続の場合と本質において異なるところはない。」とし、 本件において、被上告人(妻)は、本件遺言によって取得した不動産を、登記なくして上告人ら(子の債権者側)に対抗することができると判示しました。


(全文)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/433/062433_hanrei.pdf

No 0013
裁判年月日
平成13年7月10日

判示事項
被相続人の占有により取得時効が完成した場合において共同相続人の1人が取得時効を援用することができる限度

裁判要旨 
被相続人の占有により取得時効が完成した場合において,その共同相続人の1人は,自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができる。

コメント
 
最高裁判決によると、ある不動産につき時効を完成させた者が死亡し、相続人の一人が相手方に対し時効を援用しても、遺産分割協議などがない限り、当該不動産の全部を取得することはできないと判示しています。


(全文)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/432/062432_hanrei.pdf


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